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台湾旅行 初日はひたすら移動

  • Writer: Kiminori Yokota
    Kiminori Yokota
  • 18 hours ago
  • 4 min read

 朝5時に起きて準備を整え、簡単に朝食をとると、7時過ぎに家を出る。神戸空港からベイ・シャトルで関西国際空港へ。船はひどく速くて、並んで飛んでいた白い鳥があっという間に抜き去られ、やがて見えなくなる。国際空港の桟橋に着くと、連絡バスで第2ターミナルへと向かう。バスに乗っている時間が意外なほどに長い。第1ターミナルと第2ターミナルとがこんなに離れているとは思わなかった。

 搭乗を待つ間に、先月末の村上Radioを聞く。春樹の世間話。外国で長距離特急に乗った時の食堂車の話とか、ノルウェイで特別郷土料理を提供してもらったと思ったら焼きサバだったという話とか、昔担当編集者と千疋屋かどこかで待ち合わせして、こちらがコーヒーを頼んで待っていると、相手がフルーツパフェを頼んだ話とか。

 機内では三好達治『詩を読む人のために』を少し読む。現代詩のアンソロジーを読むようなつもりでこの本を持ってきたのだけれど、擬古文の詩というのがなかなか体に入ってこない。やはり現代詩の方が面白い。丸山薫「挿話」(『鶴の葬式』から)を引く。

  蝙蝠が帆に捲き込まれ

  帆はヤードに括られたまま

  風が出ないので

  いつまでも開かなかった

  ——あれからどうしたらう?

  舷燈がそんな独り言を呟いた

 読むことにつかれると窓の外を眺める。青い空と境目が分からないくらいよく似た青の海と白い雲。時折いろんな形をした名も知らぬ小さな島をいくつも通り越す。どんなに小さくても、人の住んでいる島には、川が流れ、道が通り、車が走っているのがはっきり見てとれる。この島では人々はどんな暮らしをしているのだろう。

 高雄国際空港に到着する。熱帯特有の身体に張り付くような暑さを覚悟していたのだけれど、関西の方がむしろ暑いくらいの感じで妙にほっとしてしまった。

 両替を済ませ、電車に乗るのに使うIC Cardを購入し、地下鉄で美麗島駅へ向かう。地下の改札を出たところが円形の広場で、2本の柱と天井が青とオレンジを基調としたステンドグラスで覆われている。あたかもコンサートホールの壁面に設置されたパイプオルガンのように、ステンドグラスが建物と一体化している。この駅にはこのアート作品を見るためだけに来たので、周りに何があるか何も知らぬまま、スーツケース片手にいちおう地上に出てはみたものの、炎天下をしばらく歩き回ったあげく改札階の地下街に戻り、目についた食堂で遅い昼食をとった。

 再び地下鉄に乗って左營駅へ。ここから新幹線で台北へ向かう。日本で買っておいた3日間フリーパスのバウチャーを発動し、チケットカウンターで台北までの席を確保する。

 17:00左營駅発、18:59台北着の666号。台湾新幹線はさすが日本が受注しただけあって、身に覚えのある走行感、とでも言えばいいのだろうか、乗り心地で、外国の乗り物に乗っているという気がしない。数少ない途中停車駅に着くたび、いつの日かここに降り立つ日が来るのだろうか、などとぼんやり考えながら窓の外を眺める。そのうちまた電車は走り出し、あわただしく通り過ぎていく景色が、夕暮れからしだいに夜へと移り変わっていった。

 台北駅で台鉄に乗り換え。初めて降り立つ地下の駅で方向感覚がつかめず、案内表示と矢印を頼りにうろうろ行ったり来たりして、ようやく改札口にたどり着く。

 ホテルにチェックインする時、明日の夜のレストランで事前注文が必要とされるメニューを電話で予約してもらえるよう依頼してみる。すぐ対応してくれた。ありがたい。

 夕食はホテルの周りを少し歩いて、行き当たりばったりで居酒屋を探す。一軒目は満席で断られ、二軒目に落ち着く。どうやら焼き鳥など、主に日本風の料理を出す店らしい。昼が遅かったのであまりお腹が減っていない。軽食で十分と、やたら故障のきいたつくねとネギの串焼きやら薩摩焼きのような揚げ物やらで腹を満たす。

 あると勝手に思い込んでいた歯ブラシが部屋になかったので、ホテルの目の前のコンビニで買う。1セット99台湾ドル。いやに高い。

 高雄に着いてからというもの、随所に日本を感じる。空港の案内表示はところどころ日本語だったし、両替店のお姉さんは流暢な日本語を話した。街で見かけるコンビニはファミリーマートにセブンイレブン。車も新幹線も日本製。夕食の居酒屋では焼き鳥にアサヒスーパードライ。日本がブランド化されているということなのだろうけれど、せっかく台湾に来たからには、やはりどっぷり台湾につかり、台湾の何かしらを発見したい。今日はひたすら移動に費やした。まだあまり台湾に来たという実感がわかない。


 
 
 

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